沈黙
これを読んだのは確か高校生の時でした。
自宅に本棚がありまして、薄いから、これなら読めそうって思ったんですよね。
もともと絵本や児童書が好きだったのですが、さすがにもう高校生だから、難しい本の1冊や2冊、読めなきゃいけないって思っていました。
難しそうだけど薄いから読めそうっていうのが『沈黙』を読んだきっかけでした。
時は江戸時代。
キリスト教を布教するために日本に来た宣教師が主人公で、江戸幕府から迫害され、苦しむストーリーです。
もう、ずっと苦しんでいる。
薄い本の間じゅう、理不尽な迫害に苦しめられている。
救いがなさすぎてヤバい。
タイトルにある『沈黙』の主語は神様。こんなに迫害されて苦しんでいる宣教師がいるのになぜ神様はずっと沈黙し続けるのか。
衝撃的でした。
だってこんなに苦しんでいる人がいるのに、だれも助けてくれない。
で、その苦しみをずっと1冊の間じゅう表現している。
こんなに苦しい物語があることにひどく衝撃を受けまして、本が好きになりました。
いや、本が好きになったというか、好奇心が駆り立てられた。
心がザラザラする感じが自分にとってあまりに新鮮だったのかもしれません。
物語って起承転結あるものと思っていたけどそうじゃないんだって。
こんなにザラザラしていていいんだ。って。
宗教についても強烈に興味を引きつけられました。
神様ってなんなんだろう、って考えたこともなかったんで。
そんなこんなでわたしにとって読書をするきっかけになる大きな1冊となったのでした。
薄くて濃い本探している人がいたらおすすめしたいです。
ただ、遠藤周作の本でおすすめを聞かれたら『海と毒薬』と応えるようにはしています。